越の国の法律相談 No.034

新しい労働法が2021年1月1日(金)から施行されるのに合わせて、2021年秋の国会での可決成立に向け、労働組合法の改正作業が進んでいます。今回は主な改正点をご紹介します。

1・事業所における労働代表組織

ベトナムのILO第98号条約(団結権および団体交渉権)および環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)への加盟により、複数の労働組合についての国内法令を整備するため、労働法は、企業内労組と労働組合ではない組織(非労組労働代表機関)からなる「事業所における労働代表機関」(労働代表機関)の規定を新設しました。

非労組労働代表機関は、設立・活動のために所轄当局による登録書の発行が必要となりますが、登録完了後には、企業内労組と同様に、労働法により団体交渉権・争議権が認められています。
 
労組法改正法案にも、労働代表機関に関する規定が追加されました。

2・徴収後の労働組合費の分配

徴収後の労働組合費(賃金基本額の2%)の分配について、現在の労組法は、ベトナム労働総同盟が決定すると定めています。
 
労組法改正法案では、両案併記により、

〈第1案〉
①企業内労組のみの場合、企業内労組75%、上部労組25%
②非労組労働代表組織のみの場合、非労組労働代表機関に75%×[労働組合費を納付した全労働者数に対するこの組織の加入者数の比率]、残額を上部労組に分配
③企業内労組・非労組労働代表組織が併存する場合、非労組労働代表組織に上記②の通りに分配した後、75%の残額を企業内労組に、25%を上部労組に分配

〈第2案〉
・労働代表機関が存在する場合は、上部団体には分配せず、分配の詳細は政令で定めると規定しています。

 

小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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