越の国の法律相談 No.008

環境保全へ各政令の罰金が引き上げに

世界的に環境意識が向上する中で、ベトナムでは、2016年にベトナム中部で水質汚染が原因と見られる魚の大量死事件を境に環境意識が高まっており、最近では廃プラスチック材の輸入規制の動きも始まっています。

身の回りでは、2018年1月に施行された技術インフラ施設の管理等に関する政令(第139/2017/ND―CP号)により、樹木、公園、花壇の保護の違反に対する罰金額等が引き上げられ、樹木の損壊等に、最高3000万VNDの罰金を課すものとされました。これは外国人にも適用されます。

これに先立ち、生活ごみの不法投棄等に関する罰金等も、環境保護違反に関する政令(第155/2016/ND―CP号)により2017年2月から引き上げられています。

各省庁が協力し、環境保護政策を推進

その他、ベトナムの地方に目を向けると、森林については、森林保護法、湖や河川については、水資源法、遺産や遺跡については文化遺産法等により、それぞれ、その保護が規定されています。違反行為に対しては、それぞれ汚染や損壊行為の内容に応じて、行政処分を定める政令により、罰金等の処罰が定められています。

ベトナムの環境政策は、基本的に中央政府では、天然資源環境省(MONRE)とその下部組織である環境保護庁(VEPA)が、地方では天然資源環境局(DONRE)が所管し、ライセンスの発行、モニタリング、検査、違反の摘発を行っています。また、公安省(MOPS)や公安局(DOPS)に属する環境警察は、環境規制違反に関する強制捜査権を有し、立ち入り調査を行う場合があります。

ベトナムの自然と公共財の保護は、この天然環境資源省のほか、商工省、建設省、交通省、科学技術省等もそれぞれの所轄分野に応じて関与しています。私たちベトナムに住む外国人も、ベトナム政府の環境政策を理解し、美しく豊かなベトナムの自然と公共財の保護に協力したいものです。

 
 

岡田英之Hideyuki Okada
日本国及びベトナム外国弁護士。ホーチミン市、
ハノイ両オフィス開設時からベトナムに常駐。両事務所の代表を務める。
TMI総合法律事務所 Ho Chi Minh City Office
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