越の国の法律相談 No.047

2021年12月に開催された「ミス・グランド・インターナショナル」で、ベトナム代表のグエン・トゥック・トゥイー・ティエン(Nguyen Thuc Thuy Tien)さんがグランプリに輝いたことは記憶に新しいと思います。
 
今回は、2021年2月に施行されたパフォーマンスアートに関する政令にて規定されている様々なルールを紹介します。

①国外開催「ミスコン」
出場者の要件

旧政令では、国外開催の「ミスコン」の出場者は、国内で開催された大会の入賞者であり、かつ、文化芸術活動を行うライセンスを有するベトナム国内組織が、芸術公演局に海外大会出場許可を申請する必要がありました。
 
新政令では、大会主催者から招待され、犯罪歴等がなく、管轄当局によりパフォーマンス活動の停止措置を受けていないこと、と要件が緩和されました。今後は、国外開催大会の出場は以前と比較すると容易になると考えられます。

②口パクに関する
行政罰の廃止

旧政令下では「口パク」が禁止され、違反した場合には、罰金500万~1000万VND、3~6ヶ月のパフォーマンス停止処分が科される可能性がありました。
 
新政令ではこの内容が削除されました。今後は舞台等で口パクが見られる機会が増えるかもしれません。

③上演等の普及活動
許可制度の廃止

旧政令では、1975年以前にベトナム南部で創作された作品、または海外在住ベトナム人により創作された曲・演劇作品の上演等の普及活動を行う場合、事前に芸術公演局の許可が必要でした。これに違反すると1000万~1500万VNDの行政罰が科される可能性がありました。
 
新政令では、反国家的な内容や、国の指導者・英雄・歴史上の著名人の誹謗中傷などを内容とする作品は引き続き禁止されるものの、作品の創作時期や地域を問わず、上演等の普及活動に関する許可制度は廃止されました。
 
これにより、1975年以前に南部で創作されたり、海外在住ベトナム人により創作された曲・演劇に触れる機会も増加するものと期待されます。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo

日本国/NY州弁護士・ベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、2014年4月よりホーチミン市オフィス駐在。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。

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