日本を中心にアウトソーシング(オフショア開発)先として成長を遂げてきたベトナムIT産業。エンジニアが取り合いになるほど好景気の中、新しい波も生まれている。業種、職種、ポジションの違う多くの人たちが、それぞれの立場で語る。
 
 

2013年設立のITViecはITに100%特化した求人Webサイト。IT産業の成長とエンジニアのニーズ増から急成長を続ける同社が、ベトナム全体の求人変化から業界動向を探る。

グッドでベターな市場 今後は急激な成長も

Mr. HarveyによるとベトナムIT産業の70%はオフショア開発で、相手国は日本が一番多くて次がドイツ、フランス、スイスなどヨーロッパの企業、韓国やオーストラリアが少々。ベトナムのIT業界の強みは「価格競争力があって技術力の高いプログラマ」が多いことだと語る。

「求められている言語はJava、.NET、php、C♯、C++などで、経験2年以上が優先されます。経験3~4年の一般的なプログラマの採用は難しくないですが、マネジャーレベルを探すのはかなりチャレンジングです」

一方の30%がコンシューマー向けのプロダクト開発で、SNS運営のVNG、ECサイトのTiki.vn、飲食サイトのFoodyなど自社で開発する企業もある。オフショア開発は期限内に決められた仕様や予算で作ることが重視されるが、プロダクト開発はユーザーを満足させる創造性が求められる。

「ベトナムではオフショアの短期プロジェクトが多いので、エンジニアは自分から創造性を出すことに慣れていません。また、英語力にも改善の余地がある。ただ、毎年スキルアップしています」

ベトナムのITエンジニアを対象とした同社の調査によれば、46%はプロダクト開発、10%がオフショア開発を希望しており、44%は「どちらも大切ではない」。また、オフショア開発からプロダクト開発に転職したい人は37%、その逆は3%だった。外資系企業で働きたい人は57%と多く、主な理由は「海外に行くチャンス」、「勉強やトレーニング」、「環境の改善」だ。

淘汰は始まるものの ベトナムの優位性は続く

提供:ITviec.com

ITエンジニアの給与は、大学時代にプログラミングの経験が多少ある、またはインターンシップで学んだ新卒で月給500USDくらい。ハイクラスのマネジャーなら5000USDもある。現在のITViecでは、1088の技術分野があるIT系ジョブの中で、月給は500USDから最大で5530USD。平均月収は職種やポジション、プログラミング言語により734~1318USDだという。

今後は求人難による給与上昇も予想されるが、新規参入企業も多く、スキルの浅い人も増えるだろうから、急激な上がり幅はないと見る。一方、技術力と給与が上がる中で、ローレベルのエンジニアを抱えたローレベルの企業は淘汰されていくとのことだ。

「オフショア70%、プロダクト30%の割合は今後5年は変わらず、両分野が成長していくと思います。ITViecで採用した企業へのアンケート調査では、3分の2の企業が、次の12ヶ月でITチームを20~50%増やした開発になると予測しています。ベトナムのIT産業は大ブームになっています」