日本を中心にアウトソーシング(オフショア開発)先として成長を遂げてきたベトナムIT産業。エンジニアが取り合いになるほど好景気の中、新しい波も生まれている。業種、職種、ポジションの違う多くの人たちが、それぞれの立場で語る。
 
 

現場のエンジニアたちはどんな仕事をし、何を考えて、今後は何を望んでいるのか。企業とポジションの異なるベトナム人のITエンジニア3人が、本音を語る。

日本企業とのプロジェクトを管理 受託案件から独自開発に

オーストラリアと日本の企業とのプロジェクト管理が仕事です。オフショア開発で、最近はスマートフォンやタブレットのアプリ開発が増えてきました。副社長なので人材募集と給与管理も私の仕事です。

日本からの案件は条件が厳しいので、高度な集中力が必要。だから、完成した商品にはほとんどミスがありません。ただ、何回も条件を変えたり、明確でない要求があったりと、開発に時間がかかる場合もあります。

IT業界は変化が速いから、新しいことを素早く吸収するための勉強が欠かせません。徹底的に問題を解決する力や、自分の意見や課題を早々に理解してもらうプレゼンテーション能力も大切です。

これからのベトナムのIT業界は、安価な人材による受託案件から独自開発に変更して、もっと付加価値を提供する方向に行きたい。個人的には大手企業で働いてみたいですね。勉強になることがたくさんあって、自分を発展させる環境がありそうですから。

諸外国とのWebアプリ開発 インダストリー4.0に向けて

私はアウトソーシングで、アメリカ、インド、シンガポール、マレーシアなどのお客様のWebアプリケーションを開発している、バックエンドエンジニアです。最近担当しているほとんどがメディアや広告関連で、アジアのお客様がメインです。一番興味があるのもWebアプリで、ユーザーに親しみやすく、企業に効果的な製品を作りたいですね。

ITエンジニアに求められるのは論理的な思考力、問題解決力、忍耐力、コミュニケーションスキルだと思います。技術力や創造力は他国に負けないと思いますが、一番高い壁は言語かもしれません。ベトナムでは英語は長所にならないからです。

まもなく政府が進めるインダストリー4.0が始まるベトナムでは、IT業界の課題が少なくありません。そんな中で、将来は英語がメインに使える国際的な環境のある会社で働きたいです。ITが発展した国の人々の考え方や仕事の方法を勉強できますから。

ロッテグループECサイトのサブマネ ハードのスキルも伸ばしたい

弊社はロッテグループのIT企業で、グループ各社のデータ、ネットワーク、インターネットなどを扱っています。その中で私は、マーケットプレイス型ECサイト「LOTTE.vn」を開発・運営する、VECチームのサブマネジャーです。得意なプログラミング言語はPHP。開発以外にサーバーやソースの処理、各部署からの要求を分析して企画や開発につなげることもしています。

韓国のお客様は皆さんいつも規律正しく仕事をこなしています。ただ、やり方が硬直的で、フレキシブルでない場合も(笑)。一番興味がある分野はEC、ビッグデータ、AI、大きなプラットフォームの実用的なアプリ開発も面白そうです。将来はソフトとハードの両方のスキルが伸ばせる、オープンな環境で働きたいです。それは会社を選ぶときに大事なことですし、福利厚生にも関心があります。

これからはモバイルとマルチプラットフォームで使えるプログラミング言語が、より重視されてくると思います。