ベトナムメディア業界 右往左往 No.7

社内改革の怠慢が悪習を助長させる?

前回、ローカル不動産仲介業者が、日系企業のベトナム人マネジャーに、新規赴任者の紹介を受ける見返りに、金銭の提供を約束する「コンプライアンス違反」の話を紹介しました。

「家賃額が会社規定に納まっているんだから、もういいじゃない」。

こんな考えで、日本人総務部長が社内改革に乗り出さないことが、「社内小遣い稼ぎ」を助長しています。ただ、こういった悪習にメスを入れる動きももちろん出て来ています。しかし、往々にして言えることは、複数のスタッフが、巧妙に絡み合って「集金」しているということです。

大きな横領になる前にきちんと対策を

先日、「社内小遣い稼ぎ」が行われていることを、社員の告発で知り、中心人物だったベトナム人マネジャーを解雇したという会社の社長にお会いしました。

「何よりも、優秀なスタッフだったので…。困ったもんです」

そうです。こういうことを組織的にできるスタッフは、元々優秀なんです。そして私の目の前に1枚の紙を出し「サインをお願いします」と頭を下げられました。

その用紙は、「コンプライアンス強化の取組について」書かれた書類で、会社の利害関係者全員にサインを求めているんだそうです。その内容は以下の通りです。

・見返りを求める金銭の提供は一切行わない

・調達取引は契約書をベースに誠実かつ公平・公正に行う

・社会的儀礼や法令に定める範囲を超えた接待や金品を受領しない

この内容を破る取引先とは一切取引はしないこと、逆に自社スタッフが方針に違反し、コミッション等の提供を要求した場合は、すぐに連絡をいただきたい。

会社のトップがここまで踏み込んでくれるとあらば、我々もやりやすいです。大きな横領に発展する前に、会社の方針を示す意味でも価値のある取り組みだと思います。

 

田口 庸生 Taguchi Tsuneo

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