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月末から5月上旬のベトナム株式市場はわずかに下落したが、取引がかなり活発で、流動性が高くなっている。4月の市場に影響を与えた主な要因は3つあった。1つ目は政治的な緊張と軍事的な緊張が世界の金融市場に悪影響を与えたこと。2つ目は金属と石油をはじめ、商品価格が急落したこと。3つめは各企業が発表した2017年第1四半期の業績と新しい事業計画により、投資家が2017年の展望の最初の判断ができたことだ。

海外投資家からの需要は急増し、絶対数のみならず市場全体への貢献度も増加した。上場投資信託(ETF)の売買高は変動しないものの、外国人の売買代金は1日当たり1兆2070億VNDで、2017年第1四半期の平均に比べて43.29%増となり、市場全体の13%を占めている。海外投資家の買越し値は、4月だけで2兆2490億VNDになり、年初からは5兆9740億VNDに達している。

ベトナム株式の現在の株式収益率(PER)は15.6倍であり、タイの16.5倍,マレーシアの17.3倍、インドネシアの23.2倍、中国の17.1倍などの域内諸国の市場と比べるとまだ低い。ベトナム株式市場は、国際的な株式投資の指標となるMSCI指数で「フロンティア市場」に分類されており、「新興国市場」への昇格計画が立てられている。それまでには長い時間がかかるが、新興国市場と公認されれば情報の透明性と良好な株式リターンにより、海外からの資本流入だけではなく市場の品質面でも大きなメリットとなる。

弊社の予測によると、現在の規模で昇格するとベトナムの株式は少なくとも10億USDで購入され、今後3~5年間で市場の規模が拡大すると実際の数値ははるかに大きくなるだろう。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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