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月末、VNインデックスは再度最高値に達することができなかった。この1ヶ月間のVNインデックスはたった0.47ポイント(0.07%増)だけ上昇し、ほぼ横ばい状態が続いていた。VNインデックスを支えたのはビナミルク(VNM)、ホアファット鉄鋼グループ(HPG)、コテコンズ建設(CTD)などのしっかりとした基盤を持ち、成長している銘柄だ。

一方、VNインデックスの伸び率を阻害したとされたのは銀行業の銘柄、特に業界トップのベトコムバンク(VCB)、ベトナム投資開発銀行(BID)とベトインバンク(CTG)の3行だ。シンガポール政府投資公社(GIC)がVCBの株式を1株約2万8000VNDで買い取るという情報が発表されて以降、外国人投資家からも含めて、大量のVCB株が売り出され、株価の9%という暴落を引き起こした。不良債権の処分のために、引当金を設定しないといけない銀行セクターは、2016年は困難な状況が続くだろう。

また、自己資本比率を確保するために、既存株主に対して資本調達の圧力がかけられ、株式の希薄化リスクにも直面する。これらの原因により、銀行業の株は建築・建材やインフラ、消費財の株と比べて、魅力を失っている。

銀行間金利とベトナム中央銀行が発行した短期国債金利の急落により、8月に金融市場には過剰な流動性の兆しが明確に見られた。中央銀行の短期国債の金利はたった0.4%に下がったが、7月より2倍の資金を引き受けることができた。また、貸出成長率が再び預金成長率を下回ったことも過剰な流動性の原因の1つだ。金融市場には安定した明るい要素もあるが、小売商品をはじめ、8月の需要低迷は大きな懸念材料となっている。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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