2

015年11月と12月、ベトナムの株式市場は下落傾向にあり、VNインデックスの下落は日経225とS&P 500より多かった。企業の生産活動は減速して、日本経済新聞社が発表した11月のベトナム・日経PMI(製造業購買担当者景気指数)は50を下回った。これで、ベトナムは直近3ヶ月以内で2回の「景気下向き」状況になっている。

為替市場も危機なシグナルを出している。商業銀行の為替レートは国家銀行の許容変動幅上限に到達し、一方、自由市場での為替レートは上限を上回った。年末時期は銀行の現金需要が急増するため、金利は軽く上昇。海外からの影響もある。12月16日に米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を9年半ぶりに引き上げると決めた。これにより、外国人投資家はベトナムを含め、新興国から資金を引き上げる傾向が強まるだろう。

11月半ばから、外国人投資家の純売り越し額が約4000万USDとなり、前月と比べて大幅に上昇。ベトナムで最も大きいETF(上場投資信託)は、約4億USDの資産を運用している「マーケット・ベクトル・ベトナムETF」であり、このファンドは約2000万USDを引き上げた。

外国人投資家の資金引き上げは、国内投資家に心理的な悪影響を与えている。売り越しが圧倒的になり、銀行や石油、食品産業、生保以外の保険サービスなどの主要産業が全て下落。ただ、建設と建材産業はさほどの下げ幅ではないため、外国人投資家は数週連続でこの産業の株を買い越し続けている。建設・建材の魅力がまだ強く、売り越しが圧倒的な現状では、この分野は投資の良いチャンスとなっている。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
ウェブサイト: www.ssi.com.vn