迷状態が続くベトナム株式市場は、4月末以降良い成長の兆しを見せた。VNインデックスは600を超え、直近6ヶ月で最高値に達した。この上昇に銀行株は重要な役割を果たし、特に海外投資家の購買力が顕著だった。海外投資家の銀行株買い越し額は3月の530万USDから4月の2700万USDに急増。銀行業はベトナム株式市場全体の時価総額のうち、約3分の1を構成しているため、VNインデックスを支えて600以上引き上げた。また、市場上昇の1つの要因は原油価格にもあり、1バレル48USD台に上昇したおかげで、石油関連の株価は大幅上昇した。ちなみに、石油関連株は市場全体の時価総額構成で4番目を占めている。

5月初にハノイで開催された「The Asian Banker Summit 2016」では、ベトナム首相と国家銀行(中央銀行)総裁は引き続き金融システム改革を進め、より透明性および安全性を向上させると約束した。また、中央銀行総裁は海外投資家がこの再構築過程により積極的に参加することを期待した。

近いうちに、政府は30億ドルの国際債券を発行する予定で、財政赤字の相殺と先進国での低金利を好機とし、初めて莫大な国際債券発行に踏み切る。

ただ、海外投資家による銀行株の買い越しが継続するとは限らない。前年同時期でも強く買い越したが、今年はFRB(連邦準備制度理事会)に利上げの懸念があり、アメリカの投資家からベトナムへの資金流入は大幅に下落する恐れがある。5月末にオバマ大統領が来越する。この訪問がきっかけで、アメリカの投資家がベトナム経済の見通し・展望に積極的な見解を持つと期待される。

グエン・ドゥック・フン・リン
Nguyen Duc Hung Linh
Saigon Securities Inc.の個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。シンガポールで市場分析家や法律専門家として勤務後、2011年より現職。
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