年4月からの新しい労働許可証(ワークパーミット/WP)制度のポイントを整理します。発行を受けられるのは、日本企業からの出向者の場合、日本での勤続年数1年以上の「管理者・経営者」、「専門家」、「技術者」ですが、それぞれ以下のような変更がありました。

「管理者・経営者」の範囲は、旧制度では管理業務(企業経営・管理職の業務の監督統制)を直接行う者という規定でしたが、新制度ではさらに、会長・社長・取締役など企業法が規定する管理者、組織のトップとその代行者、部門のトップであることが要求されています。

「専門家」としての実務経験年数が5年から3年に短縮された一方、大学卒業以上で、①大学での専攻分野、②3年間の実務経験、③ベトナムでの実際の職務、が全部一致することが必要となりました。

「技術者」は、1年以上の訓練とその分野での3年以上の実務経験が条件です。旧制度では、技術分野に限られていましたが、その他の専攻にも拡大されましたので、今後は事務分野などでも認められると思われます。

なお、管理者・経営者・専門家・技術者に該当し、就労日数が1回30日・年間90日以下の場合、WP発行が不要となり、ベトナムに居住歴のある者は、旧制度では、ベトナムおよび直前の居住国の無犯罪証明書を提出していましたが、ベトナムのものだけでよいとされました。外国人がWPを持たずに働く場合、本人の国外退去処分、雇用者の3000万~7500万VND(約15万~37万5000円)の罰金のほか、1~3ヶ月の営業停止処分も規定されています。出向・採用予定者がWP発行条件を満たし、取得可能性を確認するほか、取得見込み時期等も余裕をもってチェックされることをおすすめします。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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