EY大手会計事務所のベトナム事情 No.014

個人所得税の申告期間開始日の確認を

EYベトナムの小野瀬です。第14回の対談は、日系企業担当の堀内大和さんです。

小野瀬 堀内さん、今回はベトナムの個人所得税について、お話を聞かせてください。この時期に日本から赴任して来ている方も多いですが、どのような点に気を付けた方が良いでしょうか?

堀内 新規に赴任して来た場合、通常はベトナムに着任した日から、ベトナムの居住者として個人所得税が課税されます。

アサイメントレター等に記載の正式な着任日よりも前にベトナムに入国し、当該来越が出張や引き継ぎなど、業務目的ではない場合(プライベートの旅行等)、通常は個人所得税の申告期間の開始は着任日からとなります。

ただし、正式な着任日より前に、ベトナムに業務目的で入国している場合、最初の入国日から居住者として個人所得税が課税されることがあります。例えば、4月1日からベトナムに赴任して来た方が、2月にベトナムに出張で数日滞在していた場合、その出張で入国した初日から、居住者として課税されたケースもあります。

二重課税となるケースに注意

小野瀬 そうなんですか? この場合、日本側では3月末まで個人所得税が課されるのが通常ですから、ベトナムでも課税されるとなると、二重課税となってしまいますね。

堀内 はい。二重課税となっている期間分の納税証明書等の必要書類が揃えば、ベトナム側で外国税額控除を受けられる場合もありますが、実務上、二重課税のままとなっているケースが多いです。

小野瀬 そうですか。正式な着任前に出張でベトナムに来ているケースは少なくないと思うので、注意が必要ですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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