【ベトナム税務・会計】M&Aの相手企業の財務調査
スピーディかつ慎重な見極めを vol.03
3回の対談は、M&Aの際に行われる財務調査(デューデリジェンス:DD)担当のWizelさんです。
小野瀬 最近はベトナムへの投資が増加中なので、DDの案件も非常に増えていますね。
Wizel 日系企業が依頼するDDは非常にスピードが求められ、報告書の締切りも非常にタイトな案件が多いです。一方で、DDの対象となるベトナム企業においては、スピードや時間軸に対する認識は異なります。早く売却をしたいために急かす場合もある一方で、なかなか準備や手続きが進まない場合もあります。
小野瀬 双方の経営者同士では合意がなされていても、現場レベルでは、資料の提出に協力的でなく、なかなか資料が出てこないケースも多いですよね。
Wizel 資料の提出を拒む場合や、現場担当者が協力的でない場合は注意が必要です。重要な問題を隠していたり、経営者には報告されていない事実や、賄賂を支払っているケースなどもあります。日本の企業はスケジュールを気にする傾向がありますが、DDが疎かになって重要な問題を見落としてしまうと意味がありません。
小野瀬 DDが終了しても、発見した問題点やその解決方法に折り合いがつかず、なかなか交渉が進まないケースもありますね。条件が合意直前に変更される場合も多いです。
Wizel ベトナムの企業とのM&Aは、予定通りに進まないという前提で交渉を進めましょう。買収が無事に完了しても、その後で苦労されている会社もたくさんあります。文化的背景が異なる国同士の企業が一緒になるわけですから、しっかりと相手を見極める必要があります。
小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com
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