ベトナムの物流は変わる 職場を作るのが私の仕事
佐川急便 vol.5
航空・海上輸送、トラック輸送チャーター、倉庫、国内デリバリー…ベトナムで多彩な事業展開を続ける佐川急便ベトナム。2000年に初赴任した島﨑順二社長は、組織と評価制度を改革することで業績を急拡大させてきた。
前年と比べて売上げが約2倍国内デリバリーサービス
―― いつベトナムに進出を?
島﨑 1997年です。香港のお客様がベトナムに進出されるので、ベトナムでも香港と同様なサービスを提供してほしいというご要望があり、現地法人を設立しました。そのため、当初は香港系企業のお客様がメインだったのですが、次第に日系企業が増え、現在では顧客の9割が日系企業です。次第に複合的なサービスを求められるようになり、サービス内容を拡大させていきました。
―― どんな業務が主力ですか?
島﨑 航空と海上の輸送サービスであるフォワーディングが売上げの約6割と一番大きく、次がトラックを貸し切って輸送するトラック輸送チャーターサービス、工場から港まで輸送するドレージもあります。
倉庫事業も柱です。倉庫には一般的な「保管型」のほかに、近隣の工場から多くの荷物をCFS(コンテナフレートステーション)に集めて、仕向地ごとに仕分けしコンテナに積む「通過型(DC)」があります。コストダウンが図れるサービスですね。そして今は、お客様から包括的に物流業務を受注する3PL(サードパーティーロジスティクス)の機能を持った、「輸出型」に注力しています。
―― 日本では、ベトナムから荷物を運ぶCMが流れていますね(取材当時)。
島﨑 ベトナムから日本のエンドユーザーまで、一貫輸送を行うサービスです。ベトナムでタグ貼り、梱包作業、店舗ごとのアソートを行い、日本に到着後、最寄りの佐川急便の店に持ち込み、日本全国に配送することが可能です。
同様な、日本からベトナムへ一貫輸送するサービスも構築中です。日本から荷物を運んでストックし、ベトナム国内で販売したいという、企業様からのお問い合わせを多くいただいています。倉庫とデリバリーをよりうまく組み合わせた仕組みを考えているところです。
混載便サービスは2012年から開始いたしました。Door to Doorの料金表を作成しているので分かりやすく、B to BとB to Cの両方に対応しています。
―― 事業の伸びはいかがですか?
島﨑 おかげさまで昨年の売上げが前年比で2倍弱になり、倍々ゲームで成長しています。料金はローカルの同業者より若干高いと思いますが、それでも評価されているのは、時間指定ができて正確に配達すること、個人へ配送する場合は事前に電話をして到着時間を知らせること、荷物をきれいな状態で届けることなどが理由だと思います。ドライバーには入社時に、1週間の日本式研修を受けてもらっています。
配送もそうですが、何か起こった際に素早く対応できる責任感の強さなど、日本的品質をご提供出来るように努めております。国内デリバリー業界ではVIETNAM POSTやVIETTEL POSTなどがあり、マーケットシェアで言えば弊社はまだ比較になりません。ただ、サービスなど差別化できる要素も多く、5年後、10年後を見据えれば充分に勝機はあると思っています。
組織と評価制度を変えて過去最高の実績に
―― ベトナムは2回目の赴任ですね。
島﨑 はい。最初は2000年2月から2002年5月まで営業課長として赴任しまして、2008年6月にハノイ支店長として2回目の赴任をし、2009年10月から現職です。現在はベトナム全体で従業員が630名(2014年11月末現在)になりました。ベトナムは気候や治安が良く、過ごしやすい国で、私はとても気に入っています。
―― 業績をかなり改善させたとか。
島﨑 2010年には過去最高の売上げと利益を出しました。それ以降毎年業績は伸びており、当社の海外拠点の中でも業績が良い拠点の1つです。2014年度も業績は向上しています。ただ、当然ですが私一人では何もできません。スタッフが働きやすい仕組みと評価制度を作るのが私の仕事だと思っており、その成果が数字に結びついたのでしょう。
一例を挙げれば、結果を出せば出すほどボーナスの額を上げる。数字は毎年変わるのですが、利益の10%程度をボーナスとして分配すると明言し、実践してきました。働くほどお金が入るわけですから、スタッフが頑張ったわけです。私は新卒で佐川急便の子会社に入社しまして、ドライバーを2年半経験しました。彼らの気持ちはわかるつもりです。
―― 今後はどのようなことを?
島﨑 1年に一度はハノイ、ホーチミン市、ダナンのマネジャー以上二十数名を集めて、翌年の方針や事業計画を決める全体ミーティングを開いています。将来的には、私がいなくても動けるような会社にしたいと思っています。
事業では、今後はワンストップサービスを拡充させたいですね。TPPやAECで東南アジアの物流は変わります。ベトナムも同様です。そのニーズに合わせた提案をしていきますし、特に倉庫事業とデリバリーサービスに注力するつもりです。
―― 今後はどのようなことを?
島﨑 1年に一度はハノイ、ホーチミン市、ダナンのマネジャー以上二十数名を集めて、翌年の方針や事業計画を決める全体ミーティングを開いています。将来的には、私がいなくても動けるような会社にしたいと思っています。
事業では、今後はワンストップサービスを拡充させたいですね。TPPやAECで東南アジアの物流は変わります。ベトナムも同様です。そのニーズに合わせた提案をしていきますし、特に倉庫事業とデリバリーサービスに注力するつもりです。
SAGAWA EXPRESS VIETNAM CO., LTD
General Director 島﨑順二
1969年生まれ。大学卒業後に佐川航空(現佐川急便)に入社。その後、親会社の佐川急便本社に転籍し、全国の新商品開発等を行い、2000年に営業課長としてベトナムに赴任。2002年に帰国後、2008年6月にハノイ支店長になり、2009年10月より現職。
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