EY大手会計事務所のベトナム事情 No.016

実質面と形式面双方を厳しくチェック

EYベトナムの小野瀬です。第16回の対談は、日系企業担当の西川貴陽ディレクターです。

小野瀬 近年、税務調査が以前にも増して厳しく行われています。最近の税務調査に着目したときに、何か気づくことはありますか。

西川 そうですね、最近の税務調査では、以前にも増して、実質面と形式面、どちらも厳しくチェックしているように感じます。例えば、親会社に対するロイヤリティの支払等については、契約書等の必要資料が揃っているかどうかという形式面も重要ですが、本当に会社にとって支払う必要のある費用なのかという実質面もかなり着目するようになっています。

倉庫等の事業拠点登録漏れに注意

小野瀬 税務当局としては、実質の伴わない、不要なロイヤリティを支払うことにより、ベトナム子会社の所得を日本に移転することを防止したいということですね。これによりベトナムの税収が日本に移ることを防止したいと。その一方で、形式面について、税務当局は最近どのようなことを指摘してますか。

西川 例えば法律上の要求事項をすべて満たしていない場合、関連費用が損金不算入となるケースが見られます。例えば、Decree78/2015/ND―CPにおいて、事業拠点は計画投資局に通知する必要があると定められています。ここで何が事業拠点に該当するかは明確に定められていないものの、例えば、会社が倉庫を借りている場合、これが事業拠点であると指摘されるケースもあります。これらの事業拠点登録手続がなされていない場合、法律上の要求事項を満たしていないことから、倉庫の賃借料を損金不算入とされ、追徴を受けるケースが、数は多くないものの散見されています。

小野瀬 手続きを行っていないだけで損金不算入となるのはもったいないですね。これらの手続き漏れがないかどうか、一度チェックされることをおすすめします。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
Ernst & Young Vietnam Ho Chi Minh City Office
電:028-3824-5252
E-mail:eyhcmc@vn.ey.com
ウェブサイト:
www.ey.com