越の国の法律相談 No.017

2019年1月に全面的に引き上げ

ベトナムの環境保護税は、2012年から、▽石油製品▽石炭▽HFCF(特定フロンの1つ)▽ビニール袋▽使用制限のある殺虫剤・除草剤などに対して課税されています。

その後、2015年に、原油価格下落と輸入関税率の引き下げによる歳入減を補填するための対策として、石油製品に対する税率(ガソリンについては1Lあたり1000VND→3000VND)が引き上げられましたが、2019年1月からは、やはり輸入関税率引き下げを受けて、石油製品(ガソリンについては1Lあたり3000VND→4000VND)のほか、ビニール袋(1kgあたり4万VND→5万VND)や石炭・殺虫剤・除草剤の一部を含む全面的な引き上げが行われました。

一般市民の意識の高まりも後押しに?

環境保護税による税収は、2016年に38兆VND(約1770億円)に達しており、今回の税率引き上げによる増収は年間15兆7000億VND(約773億円)と想定されています。

環境保護税の目的には、国の環境保護事業の資金調達と、消費の抑制による環境の改善の両面があります。例えばビニール袋の生産量・売上高は、環境保護税法施行直後には前年比35%も減少したとされており、今回の引き上げによる影響も注目されるところです。

このように、従来の環境対策は、国際条約や国内規制・課税など、国家主導で進められているのに対し、最近のプラスチックストロー不使用(ベトナムでは、米粉や竹など地元の素材を使ったストローが開発されています)は、アメリカの大手外食チェーンから始まって、世界的に広まったもので、消費者としての一般市民が真の主役といえるかもしれません。環境を守る取り組みもこれからさらに多様化していくのではないでしょうか。

 

日本国及びベトナム外国弁護士
小幡 葉子Obata Yoko
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