EY大手会計事務所のベトナム事情 No.017

実質面と形式面双方を厳しくチェック

EYベトナムの小野瀬です。第17回の対談は、日系企業担当の浅野智道マネージャーです。

小野瀬 日系企業では数年毎に駐在員の異動が一般的ですが、駐在員の赴任時および帰任時における個人所得税上の取り扱いについて、どのような点に気を付けるべきでしょうか。

浅野 ベトナムの個人所得税においては、居住ステータスが居住者または非居住者のどちらに判定されるかによって、課税対象および税率が異なります。

まず課税対象について、居住者はベトナム国内外を問わず、全世界所得が対象であるのに対し、非居住者はベトナム源泉所得が対象です。

次に税率について、居住者は5%から35%の累進課税が適用されるのに対し、非居住者は一律20%が適用されます。

居住ステータスの判定は、基本的には暦年または入国日から連続した12ヶ月の間に、183日以上ベトナムに滞在しているかどうかで判定されます。

居住ステータスで変わる還付の可能性

小野瀬 日本への帰任のタイミングによっては、駐在員生活最後の年が非居住者になる可能性があります。その場合の留意点はありますか。

浅野 居住者の想定で申告・納付していた方が、帰任が決まったことに伴い、非居住者と判定された場合、個人所得税が還付される可能性があります。つまり、帰任までに居住者としての課税対象および税率で納付した金額が、非居住者として納付すべき金額を上回っていた場合、当該差額の還付を請求できます。

還付申請には申請フォームおよび個人所得税支払の写しが必要ですが、地方税務当局の実務慣行によっては追加の書類提出を要求されるケースもあるようです。

小野瀬 居住ステータスが非居住者となる時期での帰任が決まった場合、個人所得税が払い過ぎたままとならないように確認した方が良いですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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