【ベトナム株】1―6月期の経済動向
成長鈍化の原因は?
製造業と農業が減速伴って全体が低成長
2019年1―6月期の経済情勢で良かったのははマクロ経済の均衡・安定がうまく管理されたという点です。慎重な金融政策と食糧・食品価格の下落により、インフレ率は低水準を維持しました。
一方で、3400万USDの貿易赤字は、直接投資と間接投資による外貨の供給が多く、外貨準備高に加担し、全体の貿易収支に影響を与えず、為替レートにも圧力をかけていません。しかし、依然として成長の勢いは弱いため、注意すべき多くの問題が明らかになりました。
GDPで1番と3番目に大きな割合を持つ製造業と農業の減速は、経済成長を減速させる主な理由です。製造業においては、電子産業が前年同期比で3・5%増と、前年の成長率より大幅に伸び率が低下しました。
農業のGDPは、エルニーニョの影響を受けて乾燥した天候と米輸出のマイナス成長により、前年同期比1・3%増と3年ぶりに最低成長率を記録。中国はベトナムからの米輸入に多くの技術的障壁を課したため、同市場への輸出が減少し、前年同期の4分の1に留まったことも影響しています。
輸出総額の減少は米や青果などが影響
上半期の輸出総額は前年同期比で7・3%増加し、2018年―2017年の同期比の16・6%を大幅に下回りました。主に、米、コーヒー、カシューナッツ、キャッサバ、水産物などの輸出額が減少したことが影響しました。
FDI企業に対し、携帯電話、機械、繊維などの主要製品の輸出は緩やかに増加しました。
ベトナムの経済成長は主に輸出に依存しているため、輸出額の変動は成長全体に影響を与えます。
自動車の完成車(CBU)輸入は前年1―6月期の5倍の17億USDに急上昇し、国内自動車産業に影響を与えました。6月の自動車製造業のインデックスは前年6月と比較して0・7%下落しました。
今後、国内生産車に対する生産と販売向けて優先政策を適用することに加え、ベトナムは引き続き保護障壁を引き上げる必要があるといえます。
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
ウェブサイト:www.ssi.com.vn
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