SSI証券のベト株探訪記 No.001

世界の株式の下落は ベトナムにも影響あり

2018年の年初2ヶ月間のベトナム株式市場は激しい値動きがありました。

まず、1月は2017年から継続的に上昇していたVNインデックスが1月26日に一時的に1130ポイントの最高値に達したものの、終値は1115・64となりました。その結果、利益確定売りが優勢となり、2月の初旬にはさらに値を下げました。

そこへ、世界中で株式が暴落。中でもアメリカの株式市場が1月末から急落し、2週間で10%以上値を下げたことは、ベトナムのキャッシュフローにも影響が及びました。2月7日以降は海外の投資家が連続で売り越し、その総額が2兆VND以上になるなど、市場に圧力を与えました。

ただ、ベトナム国内の金融市場は、2017年に続き良い状態がキープされています。為替レートの安定やインフレの抑制、余裕のある金融機関の流動性と外国資本流入の増加による豊富な外貨準備高により、金利は低い水準に留まっています。

外貨準備高は2016年末の410億USDから2018年年初の2ヶ月間で600億USD近くに増加しました。1月の輸入額200億USDと比較すると、現在の外貨準備は輸入3ヶ月(13・3週間)分に相当し、IMF(国際通貨基金)の最低推奨水準をわずかに上回っている状況です。

2018年のGDP 成長率はどうなるか

2018年年初2ヶ月間の鉱工業指数は過去数年間で最高水準の+15・2%となり、加工製造部門も+17・7%と伸びています電子製品製造部門はベトナムサムスンディスプレイの売上が前年同期の2・2倍に達したことで、+38・3%となり、経済成長の柱となりました。食品、飲料、家具それぞれの部門も+6%、+7・9%、+20・2%を記録するなど、消費需要の改善が反映されています。
2018年第1四半期のGDP成長率は2017年の下半期に相当し、いよいよ今年は8%に達するのではと予想されています。

グエン・ドゥック・フン・リン Nguyen Duc Hung Linh
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
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