EY大手会計事務所のベトナム事情 No.018

期間に応じて税務調査は2種類

EYベトナムの小野瀬です。第18回の対談は、日系企業担当の若杉俊哉マネジャーです。

小野瀬 ベトナムでの税務調査は何種類あるのでしょうか。

若杉 税務調査の種類は、Circular No.156/2013/TT―BTCに規程されています。主要なものは2つあり、タックス・イグザミネーションというシンプルな調査範囲で短期間に実施されるものと、タックス・インスペクションという広範な範囲で1ヶ月以上の単位で実施されるものがあります。

タックス・イグザミネーションは現地訪問を行わず、調査対象会社から資料を取り寄せるデスクトップ・レビューと、調査対象会社に現地訪問して行うフィールド・オーディットがあります。訪問調査期間は5~10営業日が目安です。

タックス・インスペクションはフィールド・オーディットのみで、実施期間は地方税務局が実施する場合は30~45営業日、税務総局が実施する場合は45~70営業日が目安です。常に調査官が会社に張り付くのは珍しく、指定の期間内に訪問したり、当局に戻ったりと訪問日数は調査内容・具合で変わります。

各政府機関における連携が進んでいる

小野瀬 近年の税務調査の動向で留意すべき点はありますか?

若杉 2018年10月に発行されたOfficial letter3720/TCT―CSです。関税については、税務当局と異なる機関である税関当局が調査を行いますが、例えば材料の標準消費量について、税関当局による調査結果・指摘内容を税務当局が参照できる様になりました。

従って、税関調査の際に指摘された項目内容を基礎として、税務調査においても追徴課税を要求される可能性があります。このように各政府機関の間で情報が以前よりも一層共有される様になり、連携して指摘を行える様になったのが、大きな動向として挙げられます。
小野瀬 各機関が連携する様になり、よりリスクが大きくなるのがどのような論点か、しっかりと情報を把握し、対策する必要がありますね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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