【ベトナム株】5月の鉱工業指数から読む GDPの成長率の予想
SSI証券のベト株探訪記 No.004
5月の鉱工業指数が落ち込んだ理由とは?
5月の鉱工業指数は過去4年間で最低水準となる前年同月比+7・1%となりました。
しかし、今年最初の数ヶ月間で高い成長率に達したため、5ヶ月間の鉱工業指数自体は過去数年間のなかでも最高を記録しました。
この減速は電子産業のわずか2・2%という微々たる上昇が影響しています。2017年同期はスマートフォン「ギャラクシー(Galaxy)S8」の生産量ならびに販売量が増加しました。また、今年は新型の「ギャラクシー S9」がより早く発売されたことで、第1四半期に非常に高い成長率をもたらしました。
今年5月の携帯電話の輸出総額は同17・6%減の34億USDをで記録しました。4月と5月の2ヶ月間の携帯電話の輸出総額は前年同期比19%減の68億USDであり、この前年同期の高水準を鑑みると、今年の第2四半期の輸出総額はあまり伸びない可能性が高く、GDPの成長率にも影響を及ぼすと考えられます。
米大統領の税制改革がGDPの成長に影響か
電子製品・コンピュータの5月の輸出総額は前年同期比+20・1%で、2018年に入ってからの5ヶ月間の伸び率は同+14・2%となりました。しかし、前年の同期間の伸び率+48・8%には及ばず、5月のテレビ生産台数は1・7%減の92万5000台に留まりました。
また、ドナルド・トランプ米大統領の新しい税制改革案によってサムスン、LGをはじめとする電機メーカーの生産活動に影響が及び、アメリカで工場を開業することを余儀なくされました。
この動きは今後のベトナムにおける電機メーカー各社の生産規模の縮小を意味します。
したがって、ベトナムのGDPが過去4四半期のような成長の勢いを維持することが難しくなると予想されます。今後の動きを注意深く観察していく必要があるでしょう。
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
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