EY大手会計事務所のベトナム事情 No.023

日本での賞与に課税の可能性あり

EYベトナムの小野瀬です。第23回の対談は、日系企業担当の原田潤一ディレクターです。

小野瀬 この時期、ご帰任者が多くて寂しい限りですが、帰任時に注意すべき税務上のポイントを教えて下さい。

原田 はい。今回は個人所得税についてお話させて頂きます。帰任後は個人所得税法上、ベトナムでは非居住者、日本では居住者として取り扱われます。そのため、帰任日以降に日本で受け取る給与については、基本的には居住者として日本でのみ課税されます。短期の出張等でベトナムに来た場合には、ベトナムにおいて非居住者としてベトナム源泉所得に対して20%が課税されます。

小野瀬 そうなんですね。帰任した後は日本でのみ給与を受け取るので、特に問題なさそうですね。

支給対象期間に注意が必要

原田 ただし、帰任した後に日本で賞与を受け取る場合、その賞与の支給対象となる期間がベトナムで勤務していた期間を含んでいると、ベトナムでの納税義務が発生する場合があります。特に日本の親会社がベトナムの子会社に、その分の賞与を負担させている場合は、注意が必要です。

小野瀬 それは大変ですね。賞与の支給対象期間は、例えば7月に支給される賞与の場合、前年10月からその年の3月となっていたりするので、ベトナムで勤務していた期間に重なるケースがほとんどですよね?

原田 おっしゃる通りです。2016年発行の公文書223(223/TCT―TNCN)では、帰任後に支払われた賞与については、その賞与の支給対象期間がベトナムで勤務していた期間を含んでいる場合、べトナム側に非居住者として20%の納税の義務がある旨が明記されています。ただし租税条約によりベトナムで納税した後、日本にて外国税額控除を受けることが認められています。

小野瀬 帰任後の賞与の個人所得税についてベトナムでの納税義務には気を付けないといけませんね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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