EY大手会計事務所のベトナム事情 No.013

労働契約書もしくはアサイメントレターか

EYベトナムの小野瀬です。第13回の対談は、日系企業担当の浅野智道マネージャーです。

小野瀬 2018年12月から外国人従業員も社会保険料を支払わなければならないケースがあると聞きました。

浅野 はい。「ベトナムの管轄機関によって発給される労働許可書等を持ち、ベトナムにおける雇用者と無期限労働契約、満1年以上の有期限労働契約を締結する、ベトナムで就労する外国人労働者が強制社会保険の加入対象となる」と規定されています。

小野瀬 労働契約書の有無がひとつのポイントになることを受け、解除を検討する企業がでてくることも予想されます。

浅野 過去に、駐在員給与を法人税法上の損金に算入するためには労働契約書を作成する必要があるという指摘があり、現地の企業と労働契約書を交わしているケースがあります。しかし、強制社会保険の適用開始により、日本およびベトナムでの強制社会保険二重払いの問題が生じる可能性があるため、この運用の見直しを検討している企業もあります。

見直しに際しては、アサインメントレターが損金算入の要件を充足しているか留意が必要です。

損金算入を満たすか項目の確認を

小野瀬 ホーチミン市日本商工会議所がホーチミン市税務局からオフィシャルレターで回答を入手していますね。

浅野 当局からの回答によれば、アサイメントレターに給与が支払われる業務内容や労働条件等、労働契約書の項目が十分に記載してあり、当該外国人が労働法の規定に基づいた労働者であることが証明され、法律の規定に基づいて労働許可証が発給された場合、かつ、当該労働者へ支払う給与、賞与および支払う条件がアサイメントレターに明記されたとおりの場合は、損金として算入できるとされています。

小野瀬 アサイメントレターのみの場合、損金算入の要件を満たしているか、記載項目を確認する必要がありますね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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