【ベトナム法律】ベトナム証券市場のこれから
越の国の法律相談 No.025
改正証券法の議論点と改正点
2019年秋の国会で、改正証券法が採択され、2021年1月1日から施行されます。
証券法改正の過程で、ハノイ・ホーチミン市両証券取引所の統合が検討されました。しかし、改正法では統合が見送られ、証券市場再編を政府が段階的に決定するとしたうえで、将来の証券市場は、国家が50%超出資する「ベトナム証券取引所」とその子会社のみが証券取引所を運営することができるという枠組みを示すにとどまりました。よって、当面はこれまでどおり2つの証券取引所が運営されることになりました。
また、証券法改正の過程では、国家証券委員会の権限・独立性についても議論されていましたが、現行法と同様、財務省の外局として、財務大臣への助言・補佐および証券市場の国家管理を実施する機関として位置付けられています。
その他、無議決権預託証券(NVDR)の導入も、外国人投資家の投資促進策として注目されていましたが、立法化されませんでした。
公開会社の信頼性の追求
その他の主な改正点としては、まず公開会社の信頼性・透明性の向上のため、◇公開会社の最低払込資本金が100億VNDから300億VNDに引き上げられ、◇現行法下の財務省通達では、公開会社となった後30日以内にUPCOM(非上場証券取引システム)への登録が義務付けられています。しかし、未登録のケースが多かったことから、改正法では、IPO完了時までに登録するものとされたほか、◇市場外取引を認める条件が厳格化され、◇無議決権預託証券の発行が可能となりました。
公募売出制度の整備
また、公募・売出(PO)に関しては、◇初回(IPO)と2回目以降(APO)を明確に分けて、それぞれの条件を規定したほか、◇額面以下でのPOが容認されました。
小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援
長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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