EY大手会計事務所のベトナム事情 No.026

政4つの会社形態

EYベトナムの小野瀬です。第26回の対談は、日系企業担当の原田潤一ディレクターです。

小野瀬 ベトナムでは会社の形態が日本と異なると聞きましたが、その内容について教えて頂けませんか。

原田 はい。ベトナムでは日本と異なり、有限責任会社という会社形態が一般的です。企業法(Law68/2014/QH13)において定められていますが、大きく分けて、株式会社、有限責任会社、合名会社、私企業の4つの形態があります。更に、有限責任会社は、一人有限責任会社と二人以上有限責任会社の2種類があります。一人有限責任会社は出資者である社員が一人のケースで、二人以上有限責任会社は、社員が二人以上のケースです。株式会社は株主が三人以上必要、かつ有限責任会社と比較して取締役会、監査役会の設置など組織体制が複雑となるため、上場会社あるいは上場する予定の会社以外は通常、有限責任会社の形式をとります。特に、日系企業がベトナムに進出する場合には、ほとんどが有限責任会社を設立しています。

小野瀬 日本では2006年の会社法改正で、有限会社が株式会社に統一されましたが、ベトナムでは有限責任会社が一般的なんですね。

日系企業がベトナムで会社を設立する際の注意点

原田 はい。日系企業がベトナムの会社と合弁会社を設立する場合、出資社が二人以上になるため、二人以上有限責任会社を設立する事になりますが、社員総会の成立要件及び、決議要件に注意が必要です。

小野瀬 社員総会というのは株式会社でいうところの株主総会ですね。

原田 仰る通りです。二人以上有限責任会社の場合、原則的には定款資本の65%以上の出資者の出席が成立要件になります。普通決議では出席者持分の65%以上の賛成が必要で、会社の再編や定款変更など、会社の重要事項を決定する特別決議においては、出席者持分の75%以上の賛成が必要です。

小野瀬 会社の重要な事項をスムーズに決定するためには、定款資本の75%を所有しておく必要があるということですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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