【ベトナム税務・会計】個人所得税50%減税の動向について
EY大手会計事務所のベトナム事情 No.007
新政令で50%減税の記述が削除に
EYベトナムの小野瀬です。第7回の対談は、EYハノイ事務所の若杉俊哉マネジャーです。
小野瀬 特定の経済区に認められている優遇税制(個人所得税の50%減税)が、新たに発行された政令の下では認められない可能性があるとして、該当の区域で問題になっていると聞きました。
若杉 はい。以前の政令(Decree29/2008)においては、特定の経済区に勤務する者の個人所得税を50%減税する旨の明文記載がありましたが、新たな政令(Decree82/2018)の下では、その優遇税制に関する記載が削除されています。
経済区というのは、投資を誘致して社会経済的な発展を促進する事等を目的に定められた区域の事です。例えば、ハイフォン市のディエンヴー・カットハーイ経済区や、タインホア省のギーソン経済区等が挙げられます。
抗議の声もあり、今後の動向に注目
小野瀬 個人所得税の50%減税は各企業が進出を決める際の判断根拠の一つになっていたはずです。進出した後に減税が認められないとなると、困惑される企業は多いでしょう。
若杉 その通りです。ベトナムの投資法においては、新しく制定された法令文書がこれまで受けていた投資優遇措置よりも不利になる場合、引き続き従前の投資優遇を受けることを明確に規定しています。
ただし、そもそも投資法は投資者保護を観点に定められているものであり、残念ながら今回の個人所得税50%減税は現行投資法の対象範囲に含められていません。
新たな政令(Decree82/2018)に関する詳細をガイドする通達(Circular)等の発行はまだなので、今後の状況が気になります。
小野瀬 本件、影響が大きいため各団体も抗議していますが、既存の進出企業のみならず、今後の進出企業への影響も考慮し、動向を注視する必要がありますね。
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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