EY大手会計事務所のベトナム事情 No.002

在庫残高の差異は確認・調整が必要

EYベトナムの小野瀬です。今回税関事後調査(税関版の税務調査)について、関税担当のトゥアン・アン(Tuan Anh)さんに話を聞きたいと思います。

小野瀬 最近、輸出加工企業であるEPE企業(一部Non―EPE企業も含む)において、税関事後調査が活発に行われています。

その中で、在庫残高の差異を理由として、VATや関税が課されるケースが多発しています。

アン EPE企業等は、輸入時のVATや輸入関税の免税といった優遇措置を享受出来る代わりに、輸入した材料について使用量や、残高等を管理する義務を負っています。

具体的には、税関側の在庫残高(会社が設定した標準消費量に基づき計算)と、会社が把握している在庫残高(実際消費量に基づき計算=会計上の残高)との差異について適時確認し、調整を行う事が必要とされています。

しかし、実務上では当該の調整が行われておらず、過去から差異が発生したままになっており、税関事後調査で多額の関税等を払うというケースが発生しています。

まずは差異の発生原因の特定を

小野瀬 会社が設定した標準消費量と、実際の消費量は、通常異なると思います。

そのため、日常的に差異が発生することなり、継続的にモニタリングをしなければ、当該差異が積み上がっていき、会社にとって大きなリスクとなるわけですね。

アン そうです。そのため、最初に差異の残高について確認をし、差異の発生原因の特定を行う事が重要となります。

その上で、継続的に差異の発生をモニタリングしていく仕組みを構築することが必要と言えるでしょう。
小野瀬 多くの会社の方が、決算が終わり少しほっとしている時期かと思います。

ただ、この時期だからこそ、是非この在庫残高の差異の問題について、再度自社の状況を確認する事をおすすめいたします。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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