【ベトナム税務・会計】支払利息の損金算入大きく改善の流れ
EY大手会計事務所のベトナム事情 No.025
政令20を修正する新政令のドラフト
EYベトナムの小野瀬です。第25回の対談は、日系企業担当の西川貴陽ディレクターです。
小野瀬 以前も話題に上がりましたが、ベトナムの法令上(政令20第8条3項)、支払利息はEBITDA(金利・税金・償却前利益)×20%までしか税務上の費用(損金)として認められないとされています。資金需要が大きく、多額の借入が必要となるような特定の商社や不動産業界等、多くの日系企業から改善要望が上がっていますが、何か状況に進展はあるのでしょうか。
西川 はい、政令20を修正する新政令のドラフトが2019年12月12日に公表され、上記の損金算入限度額について改善されています。
EBITDAの30%まで損金算入可能
小野瀬 損金算入限度額が改善されたのは大きいですね。具体的にはどのように改善されたのですか。
西川 まず、EBITDAの20%という損金算入限度額が、30%まで引き上げられています。また、当該損金算入限度の対象となる支払利息の計算にあたり、支払利息と受取利息を相殺可能となっています。
さらに、EBITDAの値がゼロまたはマイナスとなる場合には、当該支払利息の金額を税務上繰り越した上で、5年間課税所得と相殺可能とされています。ここで、新政令の施行日までに、損金不算入とした支払利息についても、5年間繰越可能とされています。
小野瀬 新政令の施行日までに損金不算入となった金額についても繰越可能となるというのは朗報ですね。新政令の施行日はいつからとなるのでしょうか。
西川 まだ詳細は未定となっていますが、2019年度の確定申告より適用されるよう、提案されている状況となります。
小野瀬 なるほど。2 0 1 9年度の決算については多くの12月決算企業が税務申告書を作成中かと思いますが、新政令の施行状況を確認する必要がありますね。
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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