越の国の法律相談 No.004

無登録営業も蔓延り規制は後追い

みなさんの周りのベトナム人の若者たち、スマホで買い物していませんか? ベトナムではここ数年で急激にeコマース(EC)が発達し、規制が後追いしている状況です。

ECサイトを開設するには、商工省への登録が義務付けられており、最近人気のソーシャルコマース(SNS上でのEC)も対象となっています。

無登録営業に対しては、最高3000万VND(個人の場合。企業に対してはこの2倍)の行政罰金、最長1年のサイト閉鎖、などの行政制裁が科されますが、実際には、ECの多くは無登録で営業しているようです。

また、ソーシャルコマースに対する課税のガイドラインによれば、個人の場合、年間売上が1億VND超であれば、付加価値税および個人所得税が課税されます。

2017年12月には、化粧品販売で年間3443億VND(約17億円)の売上のあった個人事業主が、91億VND(約4600万円)の追徴課税を受けました。

越境ECの本格化とサイバー空間の国家管理

海外のECサイトからの直接購入も、まだ件数は少ないものの、着実に増加しています。

これに関連して、先月(2018年6月)の国会で成立したサイバーセキュリティ法では、個人情報保護および情報の国家管理のため、インターネット関連サービスを提供する海外の企業は、ベトナム国内にオフィスを開設するほか、サーバーを設置して利用者のデータを保管しなければならないという規制が導入されました。

TPP11(環太平洋経済連携協定)ではECのデータ流通の制限を禁止する条項が置かれるなど、ベトナムが加盟する国際協定の中には、越境ECの自由化に関するルールを含むものがあるため、これらのルールとの整合性が問われています。

 

小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の
東南アジア案件を担当後、2014年4月より現職。
TMI総合法律事務所
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