越の国の法律相談 No.040

アルコール被害
防止法とは


ベトナムのお酒文化は、おなじみ「モッ・ハーイ・バ、ヨッ!/1・2・3,乾杯!」と「モッチャム・ファンチャム/100%=イッキ」。廉価な生ビールのビアホイやダラットワイン、各地の地酒など、多彩で楽しい一方で、年々消費量が増えるにつれ、健康への影響も懸念されています。
 
飲酒に関連する規制は、以前から道路交通法などの各種法令で規定されていました。さらに2020年1月1日からは基本法となる「アルコールとビールの有害な影響の予防と管理に関する法律」(アルコール被害防止法)が施行され、新しい段階を迎えました。
 
アルコール被害防止法には、「禁止される行為」が規定されており、その中には、▽飲酒のそそのかし・煽り・引き込みおよび強要、▽未成年者(18歳未満)の飲酒、▽未成年者への酒類の販売・販促、▽酒類製造販売業の未成年者の雇用、▽血液中または呼気中にアルコールを含む状態での運転、▽アルコール15%以上の酒類の広告、▽公務員・軍人・学生などの勤務・学習・休憩時間中の飲酒、、などが含まれています。
 
ここでの「酒類」にはビールも含むことが明記されており、未成年者はビールを飲むことも禁止されます。また、酒気帯び運転について、道路交通法では、バイクの場合、血中(50mg/100ml)・呼気(0・25mg/l)アルコール濃度の下限が定められているのに対し、これらの基準以下の酒気帯び運転も禁止している点が注目されます。
 
さらに、同年11月15日からは、これらの行為を行った者に対し、行政罰金などの制裁を科す政令も施行されています。

何がどれに該当?
運用はこれから

この中で皆様が特に気になるのは、「飲酒のそそのかし・煽り・引き込みおよび強要」かもしれません。罰金額は「そそのかし・煽り・引き込み」が50万VND以上100万VND以下、「強要」が100万VND以上300万VND以下とされています。
 
具体的にどういう行為が「そそのかし・煽り・引き込み」にあたるのか(たとえば日本式の「イッキ! イッキ!」は「煽り」行為となるのか?)については、法律・政令には明記されておらず、今後の行政運用を見ていく必要があります。
 
くれぐれも度を越さずに、ベトナムならではのお酒を楽しみましょう!

 

小幡 葉子 Obata Yoko

日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。

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