EY大手会計事務所のベトナム事情 No.030

政令20を修正する新政令68が公表

EYベトナムの小野瀬です。第30回の対談は、日系企業担当の西川貴陽ディレクターです。

小野瀬 以前も話題に上がっていた支払利息の損金算入限度額に関する規定の改正ですが、ついに確定しましたね。

西川 はい、政令20を修正する新政令68/2020/ND‐CPが6月24日に公表されました。ベトナムの旧法令上(政令20第8条3項)、利息費用はEBITDA(金利・税金・償却前利益)×20%までしか税務上の費用(損金)として認められないとされていましたが、30%まで損金算入可能となりました。また、利息費用の計算にあたり、受取利息が発生している場合、支払利息と相殺可能な旨も規定されています。

適用時期・限度超過額の繰越期間

小野瀬 公表されていたドラフト通りの改善ですね。適用時期、過去の損金算入限度超過額の繰越について議論があったかと思いますが、そちらはどのようになったのでしょうか。

西川 当該限度額の規定については、2017年度まで遡り適用されます。一方、損金不算入となった利息費用については、5年間まで繰越が可能となり、純利息費用がEBITDAの30%を超えない範囲で損金算入可能となります。当該繰越については2019年度から適用となり、2017~2018年度分については繰り越すことができません。

小野瀬 過去に遡って適用されるという結論になったのですね。これも大きな改善です。何か適用にあたり注意することはありますか。

西川 これらを遡及適用し、過去の法人税額を修正するにあたっては、2021年1月1日までに修正申告書を提出する必要があります。また、過去に納付済みの法人税は還付の対象とはならず、今後5年内に支払うべき法人税額と相殺する形となります。

小野瀬 なるほど。対象となる企業様は2021年1月1日までに忘れずに修正申告を行うようにしたいですね。過去に税務調査を受けて税額が確定してしまっている企業様も対象となるようですので、忘れずに申告しましょう。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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