EY大手会計事務所のベトナム事情 No.021

税関当局のチェックが活動要件の1つに

EYベトナムの小野瀬です。第21回の対談は、日系企業担当の若杉俊哉ディレクターです。

小野瀬 昨年発行されたDecree82/2018/ND―CP(以下、Decree82)において、EPEとして活動を行うためには税関当局のチェックを経る必要があると規定されています。これに関連して、ライセンスの取得を新規で行った企業の中には、EPEとしての活動を開始できていない企業もいる様ですね。

若杉 Decree82の規定においては、外部と施設の間を隔てる壁がある事や、施設内に24時間体制で在庫の動きを監視できるカメラがある事等、EPEとして満たすべき要件が記載されています。そして、税関当局が要件を満たしているかをチェックした上で、投資登録機関は税関当局から意見を聴取する責任があると規定されています。

Decree82の発行前は税関当局のチェックの必要性は規定されていませんでした。最近ではIRCやBRCといったライセンスを取得できても、税関当局のチェックが未了である旨の注書きが記載され、それを理由にEPEとして活動ができないケースがあります。

ベトナム政府内でも対応に向けて議論

小野瀬 新たにEPEとして活動したい企業はどの様に対応すれば良いでしょうか。

若杉 現在、政府内でも議論が行われている模様です。各地域によって対応が異なるため、当局に事前確認をした上で問題なく対応してくれる様であれば申請すれば良いと思います。

既述の混乱が見受けられる様であれば、Decree82に関連する手続が整理されるまで待った上で、EPEの設立を申請する事が肝要かと考えます。急ぎであれば一旦Non―EPEとしてライセンスを取得する案もありますが、その後に手続が整ったとしても円滑にEPEへとライセンスを変更できるのか、現在は不透明な状況ですし、慎重に検討したいですね。

小野瀬 専門家に相談する等、最新の情報を入手し、着実にライセンスを取得したいですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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