【ベトナム経営】Vol. 02
DAIKIN AIR CONDITIONING (VIETNAM) JSC
ダイキンエアコンディショニングベトナム
家庭用エアコンを国内で生産
2020年までに能力を2倍へ
2018年4月、ハノイ近郊にある第二タンロン工業団地内に、ベトナム国内初となる家庭用エアコンの現地生産工場を設立したダイキンエアコンディショニングベトナム。近年のベトナムは、家庭用エアコンの販売台数が好調に推移している。現地生産で、市場規模の拡大に対応していく。
昨年の市場は約240万台今後の販売台数の増加は確実
―― なぜこの時期に工場設立を決めたのでしょうか。
大上 これまでタイなどからの輸入販売が中心でしたが、以前は家庭用エアコンはほとんど売れなかったんです。ここ10年でしょうか、特にこの5年ほどはベトナムの好景気に伴い、家庭用エアコンの販売台数が急激に伸びました。ダイキン工業の基本的な方針は、消費する地域でモノづくりをする。弊社にとってもベトナムは魅力的な市場ですから、輸入ばかりに頼るのではなく、そろそろ国内に工場を設立しても良い時期に入ったとの判断がありました。
―― ベトナムの家庭用エアコンの市場規模を教えてください。
大上 2017年の国内市場は240
万台といわれています。日本は人口が約1億3000万人の中で800万台、ベトナムは日本と同規模の約1億人なのに240万台ですから、ポテンシャルはとても高いのです。
エアコンは、ベトナムではバイク、洗濯機、テレビ、冷蔵庫の次に欲しいものと言われています。これまでは国民の収入が低く、エアコン購入の優先順位が低めでしたが、現在は収入も上がりエアコンまで手が届くようになってきたのでしょう。将来的には確実に販売台数が伸びていく地域だと感じています。
―― 工場の設立に当たり、苦労したことはありますか。
大上 それがあまり苦労を感じなかったんです。というのも、私はブラジル工場の立ち上げにも携わり、場所はアマゾンの奥地で手続きや通関が本当に大変で、さらに従業員が強盗集団に襲われるなど危険なことが多々あったので、そちらの方が苦労しました。
ベトナムでも通関のトラブルや面倒な手続きは確かにありましたが、ブラジルほどではなく、ベトナムは治安が良く、恵まれている方だと感じます。もしかしたら、私だけが大変だと思っていないのかもしれませんね(笑)。
採用については高い技術を持つ人材こそ採用が難しいですが、勤勉でまじめな若者が多いので育てやすいと感じています。
工場の稼働時期は当初の予定通りでした。ダイキン工業には「遅れる」という言葉が一切ないものですから(笑)、何としてでも2018年4月に工場を稼働させなければならずプレッシャーがかかっていましたが、こうやって無事に稼働できてホッとしています。
人づくりもできる最新工場ベトナムでの信頼を構築
―― 同工場ならではの設備や取り組みはありますか。
大上 弊社の一番新しい工場として、生産性や品質の向上に向けた最新鋭の技術はすべて導入しました。
例えば、各設備をモジュール化して組み合わせるモジュール生産方式を取り入れたほか、モノのインターネット(loT)化で生産情報はすべてクラウド上に集約し、稼働状況が日本から即時に確認できるようになっています。
工場にはベトナム人技術者を育てる「技術道場」も併設しました。エアコンそのものの製造技術も大切ですが、据え付け工事の技術がなければ意味がないので、インストーラーや故障を診断するサービスマン向けのトレーニングもここで行っています。
―― ベトナムで「信頼性の高いブランドトップ100」にも選ばれていますね。
大上 近年は販売拠点だけでなく、サービスセンターも増設しました。今後も増やしていく予定です。エアコンは家庭用も業務用も、据え付け後にトラブルが発生することがほとんど。故障すればすぐに対応できる体制を整えたことで、お客様からは購入した後も安心という信頼を得られていると思います。
―― 今後の目標を教えてください。
大上 しばらくは省エネ性の高い家庭用インバーターエアコンの製造が中心となります。販売数が順調に伸びれば、次は業務用エアコンの生産も検討したいと思っています。軌道に乗ればベトナムからの輸出も考えています。
生産能力は2020年までに現在の2倍にすることが目標です。工場の土地は20万㎡もあるので将来的には拡張し、家庭用も業務用エアコンも製造する工場にしたいと思っています。業務用の輸入販売はこれまでも行っているので、設置をご検討の方は遠慮なくお問い合わせいただければと思います。
1995年にダイキン製品の販売を行うベトキム社を設立。2008年にダイキングループへ正式加入し、2015年にダイキンエアコンディショニングベトナムへ社名変更。家庭用、業務用エアコンのほか、商業用空気清浄機や工業用水冷チラーなどを販売。CSR活動も積極的に行う。
OHGAMI NORIYOSHI
1964 年生まれ。1983 年にダイキン工業株式会社に入社。製造部、ベルギー工場への赴任、ブラジル工場の責任者などを経て、2017 年 3 月よりダイキンエアコンディショニングベトナムに勤務。製造担当の日本人代表兼工場の責任者を務める。
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