2回の対談は、監査パートナー及び日系企業担当のErnest Yoongさんです。

Ernest 私は、シンガポールからベトナムに赴任し9年になります。弊社は、国際的な会計事務所ですので人材も多国籍です。弊社名がErnst&Youngで、私の名前がErnest Yoongと似ているため、皆さん混乱します(笑)。

小野瀬 ベトナムの会計制度についての印象はいかがでしょうか。

Ernest 国際会計基準(IFRS)と比較してまだ会計基準(VAS)は未整備な部分も多く、今後の検討課題となっています。国際会計基準を適用する流れですが、議論も遅れていますね。

小野瀬 今年から、Circular200という新しい会計に関する通達が適用されています。発効されているVASの修正ではなく、通達の形式で公表されました。

Ernest 既存のVASの変更でなく、Circularという形ですのでわかりにくいですが、IFRS適用への流れの中での新しい基準という意味では評価できます。この基準では、使用する勘定コードや表示方法、棚卸資産の評価方法が変更されました。特に外貨建て取引の換算方法の変更では、多くの日系企業に影響を与えていますね。債権取引と債務取引にて使用する換算レートが異なるため、システムの変更を余儀なくされている企業もあります。収益の認識についても、法的な形式よりも実質を重視しています。

小野瀬 ベトナムの基準は体系化されてなく、期中に突然基準が公表されることもあり、常に最新情報の入手が必要です。

Ernest ベトナム人担当者にまかせきりにせず、日本人管理者も積極的に情報を収集した方がいいですね。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com