EY大手会計事務所のベトナム事情 No.037

政令20を修正する
新政令132が公表

EYベトナムの小野瀬です。第37回の対談は、日系企業担当の若杉俊哉ディレクターです。

小野瀬 移転価格税制について、昨年末に新たな政令である政令132が公表されました。

若杉 はい、政令20を修正する新政令132/2020/ND-CPが2020年の11月20日(金)に公表されました。2020年事業年度から、新政令に沿った移転価格文書の作成が必要になります。

小野瀬 2020年6月に発行された政令68では支払利息の損金算入限度額の変更が論点で、当コーナーでも第30回の対談で取り上げましたね。政令132ではどんな修正ポイントがありますか?

独立企業間
価格レンジの変更

若杉 政令132においてはいくつかの改正点があるのですが、その中でも重要なポイントとして、独立企業間価格レンジの変更が挙げられます。

小野瀬 独立企業間価格レンジは、OECDのガイドラインで25百分位から75百分位が推奨されていて、ベトナムでも同率を採用していましたよね。今回どの様な変更があったのでしょうか?

若杉 今回の変更では、上限値は同じですが、レンジの下限値が25百分位から35百分位へと引き上げられてしまいました。

小野瀬 それは大きな変更ですね。現在12月決算の企業様は移転価格文書であるローカルファイルの準備を進められているかと思います。どういった対応が必要ですか?

若杉 従来に25から35百分位のレンジに位置していた企業様は、新政令の下でレンジ外となってしまうので、税務調査で指摘されると、レンジの中央値まで調整されるリスクがあります。必要に応じて、新たなレンジに収まる様、関連会社間での取引価格ポリシーを見直す等の対応が求められます。

小野瀬 なるほど。2020年度の移転価格文書から反映させる必要がありますし、専門家と協議しながら、税務調査を踏まえた文書作成をしっかりしておきたいですね。

小野瀬 貴久Onose Takahisa
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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