EY大手会計事務所のベトナム事情 No.038

中小企業に対する
法人税の30%減税

EYベトナムの小野瀬です。第38回の対談は、日系企業担当の浅野智道ディレクターです。

小野瀬 いよいよ3月に入り、12月決算の企業にとっては法人税の確定申告期限が迫っています。今年の確定申告の留意点を教えてください。

浅野 12月決算の場合、2021年3月31日(水)までに法人税の確定申告書および各種添付書類を税務当局に提出する必要があります。今年の留意すべき点として、まず減税措置の適用可否の検討が挙げられます。国会決議および政令に基づき、収入が2000億VND(約10億円)以下の場合、法人税を30%減額できます。外資系企業であっても当該条件を満たせば適用できるため、実績値に基づいて確認することをおすすめします。

COVID-19
関連費用
損金算入内容の拡大

小野瀬 2020年はCOVID-19の影響を受けた企業が多かったかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

浅野 まず、感染拡大防止策にかかる費用(従業員に対するマスク・消毒液の配布等)は、損金算入が認められることになりましたので、課税所得計算の際に留意が必要です。当初は福利厚生費として課税年度の1ヶ月分の平均給与が損金算入限度という見解がありましたが、COVID-19対策に努める企業に配慮し改善されています。また、COVID-19により一時的に休止した固定資産の減価償却費について、財務省がオフィシャルレター12452/BTC-TCを発行しています。

パンデミックの影響による市場需要の減少により、生産調整のため固定資産の稼働を停止し固定資産が遊休となる場合、法人税の課税年度のうち9ヶ月未満の一時的な休止に限り、当該固定資産の減価償却費の損金算入を認めています。一時的な休止が発生した企業は確認した方が良いと思います。

小野瀬 適用税率や損金算入項目をしっかりと吟味し、余計な税金コストを抑制した方が良いですね。

小野瀬 貴久Onose Takahisa
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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