EY大手会計事務所のベトナム事情 No.008

新省令で税制優遇措置が変わる可能性

EYベトナムの小野瀬です。第8回の対談は、日系企業担当の浅野智道マネジャーです。

小野瀬 財務省から税制優遇措置の取り扱いに関する新たな省令が発行されたと聞きました。どのような内容でしょうか。

浅野 はい、2018年8月28日付で省令(Circular81/2018/TT–BTC)が発行されました。この省令により、2015年7月1日より前にライセンス供与された投資プロジェクトについても、2015年7月1日より前に有効であった規制に限定せず、より有利な税制優遇措置を適用できることが明確になりました。

投資法との不整合が解消、適用方法が明確に

小野瀬 そもそも、投資法では、新しく公布された規制が、会社が現在享受しているよりも有利な投資インセンティブを提供する場合、残りの期間において新しい投資インセンティブを享受することができるとされていますよね。

浅野 そのとおりです。ベトナムの投資法第13条においてはそのように定められています。しかし、2016年6月17日付の省令(Circular83/2016/TT–BTC)の第7条第5項には、2015年7月1日より前に投資許可証または投資証明書または同等の権限を当局から取得した投資プロジェクト、および総投資資本150億VND未満で2015年7月1日より前に操業を開始した国内投資プロジェクトは、2015年7月1日より前に有効であった規制に規定された税制優遇措置が適用されるとなっています。

したがって、有利な投資インセンティブを選択できるとする投資法との不整合を解消し、税制優遇措置の適用方法を明確にするために、今回新たな省令を発行しました。

小野瀬 2018年10月12日から発効しているため、該当する投資プロジェクトがある企業は有利な税制優遇措置を確認した方が良いですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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