EY大手会計事務所のベトナム事情 No.042

EPE新規設立の
取り扱いが明確に

EYベトナムの小野瀬です。第42回の対談は、日系企業担当の浅野智道ディレクターです。

小野瀬 輸出加工企業(EPE)は、ベトナムにおける特徴的な企業形態で、関税および付加価値税が原則免除されるという優遇措置が認められています。

しかし近年、新規でEPEを設立する際に、工場の建設期間における免税が受けられないケースがあり、問題となっていました。

2021年4月25日に施行された輸出入税の運用等に係る政令18/2021/ND‐CPにより、どのような変更があったか教えてください。

浅野 政令18号により、EPEに適用される税関検査・管理の条件と関税方針が明確になりました。

具体的には、投資登録証明書の申請時に、企業がEPEに適用される必要な条件を満たす宣誓書を提出することで、税関当局は当該宣誓書に基づき証明書を発行します。

この場合、企業は免税を受けることができ、上述の問題が解消されることが期待されます。

本稼働の開始前に
税関検査を実施

小野瀬 工場建設期間の免税適用の可否は、企業の資金繰りに大きな影響を与えますので、新規でEPEの設立を予定している企業にとって重要な変更ですね。

工場完成後は、どのような手続きが求められていますか。

浅野 企業は本稼働を開始する前に、EPEの条件が実際に満たされているか税関検査を受ける必要があります。

もし、1回目の税関検査の結果、企業が必要な条件を満たしていないとみなされた場合、結果を受け取ってから1年以内に、EPEの条件を満たすように追加の工事等を行ったうえで、税関検査を再度受けなくてはなりません。

もし1年以内に満たすことができなかった場合、免税を受けていた輸入税に延滞税等を加えて納付する必要があります。

小野瀬 政令18号ではこの他にも輸出入税関連規定が修正されていますので、注意する必要がありますね。

小野瀬 貴久 Onose Takahisa
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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