デッドエクイティスワップ(DES)とは?

コロナの影響で事業再編の機運が高まり、ベトナム事業の撤退を検討される場合もあるかと思います。特に債務超過となったベトナム子会社を他社に譲渡する場合、日本の親会社からの借入をベトナム子会社の資本金に振り替えるDES等により、事前の債務超過の解消が求められるケースは多いです。今回はDESを行った場合のベトナム及び日本での課税関係をご説明します。

ベトナム及び日本におけるDESの課税関係

まず債務者であるベトナム子会社側の処理ですが、DESを実行する場合には、親会社からの借入金等の返済義務がなくなり、親会社からの拠出資本に振り替えられることになります。

ベトナムの税法上ではDESは特に課税対象とされていないため、ベトナム側での課税はありません。ただし、未払利息部分は、外国契約者税の対象となります。

債権者である日本親会社側の処理では、DESにより貸付金の現物出資を行い、子会社株式を取得することになるため、法人税法施行令119条により貸付金の時価にて子会社株式を取得します。

この場合、貸付金の簿価と子会社株式の取得価額との差額が譲渡損となりますが、この譲渡損については寄付金認定のリスクがあります。再建計画や損失負担を行う合理性等を総合的に判断して、譲渡損の損金算入可否を検討する必要があります。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
Ernst & Young Vietnam Hanoi Office
電:(043) 831 5100
E-mail: eyhanoi@vn.ey.com
ウェブサイト: www.ey.com