カジュアルで入りやすいのも 「フレアーバー」の魅力

悔しさをバネに
日本語を習得

私とエミが出逢ったのは、とある日系のバーでした。

偶然ネットで求人を見つけて働きはじめたものの、少し英語が話せるだけで、全く日本語は話せなかったエミ。お店は日本人で賑わい、慣れない立ち仕事で足は痛いし、家に帰っては涙を流す日もあったそうな。

それでも「優しい店主やお客さんたちと、自分ももっとコミュニケーションを取りたい」と切磋琢磨し、4年の間に日本語もすっかり堪能になりました。

「自分の店を持ちたい!」と新たな目標ができた彼女は2年前に独立。レタントンの路地裏に「フレアーバー/FlairBar」を立ち上げ、約1年後には共同経営のバー「ジョーカー/JOKER」も監修するようになりました。

フレアーバーは、「日本語を活かして日本人向けのバーをやりたい」と思いレタントンにオープンしたものの、実際に来店する日本人は50 %。インド人、アフリカ人、オーストラリア人、台湾人など、想像していなかった国籍の方々も常連さんになってくれたため、今は英語も改めて勉強しているそうです。

カクテル「エミスペシャル」を作るエミ

コロナに負けじと
八百屋をオープン

しかし、フレアーバーが開店してから4度の疫病流行波。普通ならば行き詰まってしまいそうですが、流石は芯の強いベトナム女性。コロナ第4波を受けて、遂に八百屋さんまで始めちゃいました。

バーのスタッフのご家族が経営するダラットの農園からオーガニック野菜を仕入れ、店舗のほかSNSでも販売。出逢った頃は、野菜を英語で"フォゲッジブル"と間違えて覚えているほど野菜が苦手だったのに、野菜嫌いもだいぶ克服し、八百屋さんを経営するまでになるとは想像もしなかったです。

そんなエミのフレアーバーでのおすすめは「エミスペシャル」。お酒は何ベースというのが決まっているわけではなく、お客さんの好みに合わせて会話をしながら作る特製カクテルです。

「疫病流行で4回も閉店することになったけど、絶対にお店は続けてみせる!」と意気込む彼女は、今日も出逢った頃と変わらぬ笑顔を見せてくれます。

 
 

三上 ナミ Nammy Mikami

東京生まれの歌謡歌手。ベトナムのテレビ制作会社でベトナムメディアを勉強中。YouTubeで「三上ナミのベトナム乱歩」も配信しています。
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Instagram: @NammyMikami