SK人事部 採用・教育虎の巻 其の百二十一

ベトナム国内転職者の大半は既存の労働許可証、レジデンスカードの切り替えが必要となります。その際に必要な書類の1つに「退職証明書」があります。

この退職証明書の発行を巡るトラブルが時々見られますので、今回はその点についてお伝えします。

円満退職なら
問題はないが…

現地採用の転職者の中には、前職で揉めて退職した方もいらっしゃいます。退職後は前職の会社と連絡を取りたくない場合もあるでしょう。

しかしベトナムで引き続き活動を続ける場合、新しい労働許可証、レジデンスカードなどの申請時に退職証明書の提出を求められます。これがなければ、ベトナム滞在を継続するのが困難になりますので、できれば退職前に発行を依頼しておきたいものです。

因みにこの書類に決まったフォームはありませんが、代表者のサインと社印が必須です。ベトナムで提出する書類ですので、ベトナム語で作成した方がその後の手間が省けます。

企業が退職証明書の
発行を拒否したら

退職(予定)者が退職証明書を請求したにもかかわらず、発行を拒否されたという話があります。しかし、これはその企業にとって良い選択とは言えません。

新しいビザの申請をする際に退職証明書を提出できない場合、役所にその旨を伝える必要があります。すると、その企業は「外国人が正当にベトナムに滞在するための手続きを妨害している」とみなされるので、当局からお咎めが入る可能性もあります。

場合によってはその企業の今後の外国人受け入れや、企業活動にも影響が及ぶことも考えられます。

こういった事情もあり、たとえ懲戒解雇などであったとしても、退職者から請求があった場合はきちんと対応するのが得策と言えます。

何かしらの理由で発行を拒否しても、余計なリスクを背負うだけとなりますのでご注意下さい。

今年の法改正により労働許可証の取得が以前より難しくなったと言われています。特に国内転職者の場合、労働許可証の取得実績があるからといって必ずしも次回も取得できるとは限りません。採用者も転職者も労働許可証を確実に取得できるか、事前に信頼できるコンサルタントに確認しておくことをお勧めします。

【SESSA VIETNAM CO.,LTD】
稲田 琢磨  Inada Takuma
日系、越系人材会社にて計8年就業。人材紹介、ビザ、労務相談などに定評。

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