賢者の税務・会計術 vol.043

こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、本稿では、コロナ関連で支出したホテル費用について考察します。
 
取り扱いの相違について疑問がある方は、是非最後までご一読ください。

隔離ホテル費用は
個人所得税の対象

現在、ベトナムへの入国者は、政府の指定した隔離ホテルに滞在しなければなりません。
 
このホテル費用等は、日本の実務感覚ですと課税対象とはならないのですが、ベトナム税務当局からのガイダンスによると、個人所得税の課税対象となるため留意が必要です。
 
ベトナムに入国する外国人は通常、4つ星や5つ星の隔離ホテルを選択するケースが多いのが実情です。ベトナム国民の平均的な隔離対応に比べて、「追加的な経済的利益が特定個人へ供与された」と解釈をすると、課税されることが理解ができるでしょう。

主に工場付近での
ホテル滞在費用

自宅や事務所のビルが隔離された場合や、省をまたぐ移動ができない場合に、会社(主に工場)近くのホテルに滞在する事例が増えています。
 
これらの費用は、会社の意思決定により発生した費用であるがために、その課税上の取り扱いは未だ見解が相違する場合があります。
 
すなわち、当該ホテル代を「出張費用」と考える場合は、個人所得税の対象とはなりません。
 
一方で、より会社に近い場所に手配された「住居費」とみなされれば、個人所得税の加算に加えて、ホテル費用の付加価値税額の控除が認められないという課税上の相違点が生じます。
 
通常は、出張費用としての処理が社内管理上も理解しやすく、課税取り扱い上も有利です。他の出張費用と同様の根拠資料、例えば、出張決定書などを社内保管しておくことが望ましいでしょう。
 
上述のように、同じホテル費用であっても、着目する視点が変化すると論点も異なり、課税判断にも影響を与えることになります。
 
コロナ関連費用については、現在でも詳細なガイダンスがない項目が多く、その取り扱いについては専門家への相談を推奨いたします。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
ハノイ市事務所
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