賢者の税務・会計術 vol.040

こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、本稿では、個人所得税と法人税の比較を通じて相違点の要点を解説します。

個人は収入の種類で
課税方法が変わる

個人所得税は、自然人である個人の所得に対して課税を行うものです。日本でもベトナムでも、その納税者である個人の所得の種類によって、課税方法が変化します。
 
例えば、給与収入と配当収入がある場合、それぞれの所得に対して異なる所得計算と税額計算をします。さらに事業収入は、給与や配当とは異なる所得計算と税額計算方法等が定められています。

ベトナムでは日本のような総合課税の制度が整備されておらず、所得の種類に応じた分離課税を定めています。また、個人事業所得の申告には、事業登録が必要とされ、現在はベトナム人にのみ認められています。

一方、法人所得税は、法人等に帰属する所得に対して課税するものです。個人所得税と異なり、法人の事業活動からの収入であっても、配当収入であっても、金利などの金融活動からの収入であっても、その全てを法人の事業活動の成果として、利益計算と税額計算をします。

なお、各事業内容や、法人の規模により、優遇税制の適用により異なる税率を適用する場合がある点には留意が必要です。

法人はすべての収入が
事業所得となる

さて、個人所得税と法人所得税の両者を比べてみると、法人所得税法は、個人所得税法で定める「事業所得」に相当し、その税法が「事業所得」に着目した利益計算と税額計算を規定していることに気づきます。

法人は、営利目的の事業活動を行うために法律上の人格を与えられた存在であるためです。そのため、一つの側面からは、個人所得税の方が法人所得税よりも複雑であると考えられます。
 
次回も引き続き、個人所得税と法人税の比較を通して、ベトナムの所得税申告の要点を解説していきます。税額計算の詳細等については専門家へのご相談を推奨します。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
ハノイ市事務所
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