これまで、非生産的なファスト思考について、①「勝手な決定:最初に答えありき」、②「勝手な決定:レッテル貼り」、③「ネガティブの増幅:永遠の不幸」、④「ネガティブの増幅:一事が万事」、⑤「ネガティブの増幅:負の拡大予言」について、ご紹介しました。
 
今回は残りの2つ、⑥「攻撃:自己攻撃」と⑦「攻撃:他者攻撃」についてお話します。

⑥攻撃の矛先が自分
「自己攻撃」

直面している問題の原因は、唯一自分だと考えることです。例えば部下が退職を申し出た時には、こう受け取ります。

「1ヶ月で退職なんて、私には部下を育てる能力がないかもしれない。業績が上がらないのも、私の努力が足りないから。全て私の問題だ」
 
これは人間が危機に直面した際に、本能的に自分を守ろうとする思考スタイルです。深層心理的には、「自分で自分をこれだけ責めているのだから、これ以上責めないで」という防衛本能が働いています。
 
実は深く考えもせず、自分を責めているケースがほとんど。自分が悪いと言いつつ、耳も思考も塞いでいるので、なかなか次に繋がる振り返りになりませんね。
 
こことここは良かった。ここは次はこうしようなどサポートし、まずは受け容れられるようにする必要があるかもしれないですね。

⑦環境や他人のせい
「他者攻撃」

問題の原因は、他の人か環境のせいだと考える「他者攻撃」。グローバルでよく聞く話です。
 
うまくいかなかったときに、「私はやりました」と言う。そこには、「環境が、次の人が、そもそも指示が…」なんて言葉が隠れていたりしますね。

「私はやることをやった。だから、私の責任ではありません」。そう極端に他責にして、自分には非が無いと思い込んでしまうファスト思考です。
 
自己攻撃も他者攻撃も、問題の本質を振り返っていないので、次(成長)に繋がりませんね。
 
以上、7つの非生産的なファスト思考はマネジメントする側もされる側も、誰もがやってしまう思考のスタイルです。
 
マネジメントは人を通して事を成す。人間理解がとても重要ですよね。

知識 大輔 Chishiki Daisuke
日本で営業責任者を務めた後、BConChinaで5年間、董事長総経理を経験。2020年8月から董事長兼BConベトナムゼネラルダイレクター就任。
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