戦略推進を人事の観点から支援する

最近、ベトナムでも戦略的人事に重きを置く組織を見かけるようになりました。今回は、「これから」の人事機能を整理し、その機能を果たすのに何をすべきかについて考えてみます。

グローバル人事の権威であるミシガン大学のウルリッチ教授は、自著『グローバル時代の人事コンピテンシー』内で、人事機能について以下のように提唱しました。

①戦略的ポジショナー世界のビジネスの現状を把握し、自社のビジネスに結びつける

②信頼される行動家有言実行を強みとし、社内外のステークホルダーと強固な関係を築く

③チェンジチャンピオン変革を先導し、管理する

④人事のイノベーター/インテグレーター人事業務を革新・統合

⑤組織能力の構築者強みを明確にし、確立

⑥テクノロジーの提案者テクノロジーを活用し、社内外の人間のつながりを促進。情報を有用な知識にまとめ、経営の意思決定に活用する

市場の変化に迅速に対応する人事機能を

組織規模が大きくなるほど、組織内のことをHOW(どう上手くやるか)に目を向け、人事は機能分化されていきます。しかし、大切なのはその前提となるWHY(なぜ?、その必要性は何か?)です。教授が提示する①~③はまさにそこを指摘しているのです。環境変化に機敏に対応するためには、できるだけ経営の「近く」に人事がいることが大切です。

人事として一番力を入れていくべき取り組みは「次世代のビジネスリーダーの発掘と登用」です。これは、戦略推進上で重要な役職への適切な人材の登用を指します。事業戦略は市場のマーケットの反応を捉え、刻々と変化しています。よって、市場の変化→戦略の変更→執行体制の再編をスピード感を持って行う人事の機能が重要性を増しているのです。

幹部の育成に力を入れる日系企業が増えてきました。将来への投資をしてみてはいかがでしょうか。

荒澤 文寛 Arasawa Fumihiro
株式会社ビジネスコンサルタント入社後、各国の責任者を経て、
ベトナム法人を立ち上げ。現ジェネラルダイレクター。
Business Consultants Vietnam Co., Ltd.
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