EY大手会計事務所のベトナム事情 No.045

2015年以前も
適用対象に

EYベトナムの小野瀬です。第45回の対談は、日系企業担当の外山隆太郎マネジャーです。

小野瀬 2021年6月4日付の政令57号で、裾野製品への優遇措置の適用範囲が拡大されましたね。裾野製品を製造する日系企業への影響は大きいと思いますので、こちらについて教えてください。

外山 「裾野製品」とは、最終製品の製造に寄与する材料、工具、予備部品などを指し、政令111号で裾野産業の一覧、通達55号では手続と製品一覧が規定されています。
 
今までは優遇措置の対象期間が制限されており、2014年12月31日以前の新規投資および拡張投資には税務上の優遇措置は適用されませんでした。
 
しかし、今回の政令57号の公布により、2014年12月31日以前の新規投資及び拡張投資についても、2014年12月31日以前に操業を開始し、法律71/2014/QH13号に規定された要求事項を充足している場合は、管轄当局からインセンティブ証明を付与されると、法人税上の優遇措置を享受できることになりました。
 
具体的には、以前にその他の法人税の優遇措置を適用していない場合は、インセンティブ証明を受領した課税年度から優遇措置を享受できます。
 
一方、以前にその他の法人税の優遇措置を適用した、または適用中の場合は、インセンティブ証明を受領した期から残余期間にわたって優遇措置を享受できます。

費用や作業負担も
しっかり確認を

小野瀬 2014年12月31日以前の新規投資および拡張投資も対象になったということですね。
 
優遇措置の申請時に注意すべき点はありますか。

外山 まずは申請前に社内で当該制度を適用できる製品かどうかを判断するため、技術的専門家等に製品の仕様を確認する必要があります。
 
また、申請には費用や労力もかかるため、社内で事前にコストとメリットを比較検討することが必要となります。

小野瀬 なるほど。まずは社内で事前に専門家と協議しながら、対象の有無や費用対効果をしっかり検討した方がよさそうですね。

小野瀬 貴久 Onose Takahisa
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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