【ベトナム法律】新投資法下での ベトナム人個人の海外投資
越の国の法律相談 No.046
海外投資に対する
規制が強化
2021年1月1日から新しい投資法・ガイドライン政令(あわせて「新投資法」)が施行されています。新投資法による改正点の1つとして、ベトナム国籍を有する個人の海外投資に対する規制が強化されたことが注目されます。
ベトナム国内の法人・個人が海外投資を行うためには、投資法に基づく海外投資登録証明書(海外IRC)の取得が必要とされています。
旧投資法・ガイドライン政令では、ベトナム国内に居住するベトナム国籍の個人であれば、その範囲に特段の制約なく、海外IRCの発給申請が認められていました。
それに対し、新投資法下では、海外への投資活動を行うことができない例として、以下を挙げています。
ベトナム企業法によりベトナムにおける会社の設立・経営を禁止されている者。具体的には、▽公務員、▽軍人、▽警察官、▽国営企業幹部など公的部門に属する者、▽未成年者、▽民事的能力が限定され、またはこれを喪失した者、▽刑事被疑者・被告人、懲役刑の受刑者、▽麻薬中毒治療施設・矯正教育施設入所者、▽裁判所から職務停止・営業禁止決定を受けた者、破産法・汚職防止法に基づく資格喪失者。
海外送金に関する
問題点も
ベトナム人個人による海外投資活動について、このように規制が強化された背景には、違法行為によって得た資金の海外持ち出し・マネーロンダリング防止のほか、投資・経営ではなく外国の居住権や国籍を取得する目的での不動産投資を抑制する目的があると見られています。
ベトナム国内の銀行口座から海外送金する際には、外国為替管理法令に基づいて、海外での資金使途を示すために海外IRCが必要となります。しかし、実際にはこれ以外の方法で海外送金すれば、海外IRC発行手続きを経なくても海外投資ができるという問題点も指摘されています。
日本でも、今後ますますベトナムからの投資への期待が高まっていくと思われますので、ベトナム国内の動向に注意する必要があります。
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
TMI総合法律事務所 Hanoi Office
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