【ベトナム法律】改正労働法
抑えておくべきポイントは?
越の国の法律相談 No.024
時間外労働時間と定年年齢
改正労働法が2019年11月20日に可決され、2021年1月1日から施行される予定です。
まず、労働者の月間の時間外労働時間の上限が30時間から40時間に引き上げられました。また、現行法と同様、年間の時間外労働時間は原則200時間、例外300時間と規定されましたが、例外が適用される事由として「労働市場における供給が十分でない高度技術労働者を必要とする場合」及び「政府が定めるその他の場合」が追加されました。
定年年齢も現行法では男性60歳、女性55歳とされていますが、2028年に男性62歳、2035年に女性60歳に達するまで、男性は毎年3ヶ月、女性は毎年4ヶ月ずつ引き上げられることになりました。
労働契約の終了と労働許可証
現行法では、有期限労働契約の場合、労働法に明示された理由(使用者の契約違反など)がなければ、労働者は期間途中に解除できませんが、改正労働法では、理由を問わず一方的に解除できるとし、事前通知期間を12ヶ月以上の有期限労働契約の場合は30日、12ヶ月未満の有期限労働契約の場合は3営業日前としました。
また、労働者が正当な理由なく月に合計5営業日以上無断欠勤した場合、現行法上は懲戒解雇事由とされていますが、改正労働法では、5営業日以上連続した無断欠勤であれば、雇用者が労働契約を一方的に解除することもでき、この場合、事前通知は不要とされています。
外国人労働者に関しては、労働許可証(WP)の延長が1回とされたこと、有限会社の出資者・株式会社の取締役のWP免除が一定の出資金額以上の場合に限定されたことなど、厳格化が図られた一方、ベトナム人の配偶者である外国人にはWPが免除されました。
改正労働法の施行まで、まだ時間があります。施行後に混乱しないためにも、改正労働法の内容を早めに把握し、必要に応じて対策を講じておくことが望ましいでしょう。
小林 亮 Kobayashi Ryo
日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスで多数の東南アジア案件を担当後、
2014年4月より現職。1年のアメリカ留学を経て、2019年9月に復帰。
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