前回、エンゲージメント向上7つの要素をご紹介しました。①上司からの期待・サポート、②人間関係、③事業の将来性のイメージ、④仕事の意義・貢献、⑤自己成長実感、⑥多様な働き方の選択肢、⑦処遇の公平感。 

弊社の「エンゲージメントサーベイ」は、1~7点で問題認識を調査しています。4000人のデータから以下のようなことが見えてきました。

将来キャリアに
懸念あり

事業の将来性に関して、3・66=問題ありという数値が出てきました。年代や役職、職種に関わらず、「将来キャリア」については否定的な見方が多かったです。
 
キャリアを描けていない社員、描かせられていない会社の双方に起因すると推察されます。とくに若手社員の離職要因としてよく指摘される「将来キャリア」は、概ね入社3~6年で若手社員のキャリア形成をどう支援するのかが、重要課題だと言えそうです。

勤務形態の
柔軟性に懸念

多様な働き方に対し、3・92という数値が出ていました。特に勤務形態の柔軟性に多くの懸念が出ていました。
 
テレワークが常態化するなど、コロナ以前とは大きく変わりつつあるとは言え、個々人のライフイベントに応じた選択肢はまだ固定的だと見なされているようです。
 
労働行政が兼業や副業の方向性を示唆する中で、更に変化が見込まれます。

会社の処遇の
妥当性に懸念

処遇の公平感は3・97。「自分には昇進・昇格の機会があまりない」と感じているようです。
 
50歳台半ばでボリュームゾーンを形成しているバブル世代の存在、役割型人事へのシフトによる年功昇格の抑制など、様々な要因が絡んでいると推察されます。
 
日本での調査結果ですので、ベトナムでも全く同じ、ということではありません。一方で日系企業のマネジメントとして、気を付けなければならないポイントが改めて明確になった結果でした。
 
我々はマネジメントされたようにマネジメントしてしまいます。皆さんは部下の将来キャリアについて、一緒になって真剣に対話できていますか。

知識 大輔 Chishiki Daisuke
日本で営業責任者を務めた後、BConChinaで5年間、董事長総経理を経験。2020年8月から董事長兼BConベトナムゼネラルダイレクター就任。
Business Consultants Vietnam Co., Ltd.
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