A:労働者の適性によって正式雇用するかどうかが決められます。

適性がないと判断すれば
正式な雇用の義務はなし

新たに労働者を雇う場合、その者に適性があるかどうかを判断するため、正式雇用前に試用期間を設定することも少なくないかと思います。法律上設定できる試用期間の長さは業務の性質や複雑さの程度によって異なりますが、試用してみた結果、やはり適性がないと判断した場合は、労働者にその旨を通知して、正式な雇用契約に移行することなく辞めてもらうことが可能です。

また、試用期間中であっても、適性がないと判断すれば、試用契約を途中解除することも可能です。この場合、事前に通知したり、残りの期間に相当する給与を支払ったりする必要はありません。

適性ありなら正式雇用
試用期間の延長は不可

一方、適性があると判断した場合は、必ず正式な雇用契約に移行させる必要があります。雇用契約の中で試用期間を設定していたときは、そのまま雇用契約が継続しますし、雇用契約を締結せずに試用契約だけを締結していたときは、必ず雇用契約を締結しなければなりません。

なお、試用期間の設定が認められるのは1回限りです。「もう少し適性を見極めたい」などと理由をつけて試用期間を延長することは認められません。1回の試用期間内に正式雇用するかどうかを決めなければならないのでご注意ください。

矢根 俊治Yane Toshiharu
かがやきTNYリーガル代表。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。主な専門は、知的財産、労働・人事労務、企業法務・ベトナム新規進出支援、ODA・政府及び公的機関の調査など。

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